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2006年10月29日 (日)

男はつらいよ 第36作 柴又より愛をこめて

NHK-BSで放送されている、男はつらいよ あゝ失恋48連発の第36作。

10/28/06の放送は、「第36作 柴又より愛をこめて」。昭和60年=1985年12月の公開。

マドンナは、第4作「新・男はつらいよ」に続き、再び栗原小巻。第4作では、幼稚園の先生だったが、今回は、式根島の小学校の先生「真知子」役。寅さん版「二十四の瞳」の「大石先生」といったところか。
「七つの子」の歌なども出てくる。

今回の作品は、結構、私自身、高く評価できる。故に、長文になっています。

今回も、寅さんのアリアから引用。

島で独身のまま年齢を重ね、「このままおばあちゃんになってしまうのかしら」と将来への不安を語る「真知子」。
その真知子に、寅さんがアリアを謳う。

寅さん 「まぁ、例えば、田舎の町を旅しているとしますか。西の空が真っ赤に焼けてねぇ。お寺の鐘がゴーン。前掛けかけたおっかさんが、こう『いつまで遊んでいるんだよ、ご飯だよ』。 と、子供たちが、『さよなら三角また来て四角』。 自分たちの家へみんな帰っていってしまうんですよねぇ。 後には、だーれもいねぇ。 そんな景色を見てますとね、妙にさみしい気持ちになったりしましてねぇ。」
真知子 「寅さん、もしかして、独身じゃない?」
寅さん 「えぇ、御恥ずかしながら。」
真知子 「あ、やぱっり。」
寅さん 「そういうのわかるんすか?」
真知子 「首筋の辺りがね、どこが涼しげなの。生活の垢が付いていないというのかしら。」
寅さん (首筋を隠しながら)「それは、やっぱり、あれ、ネクタイして所為じゃないでしょうか。私、ダボシャツだから、あれ、苦しくって。やっぱり、あの、サラリーマンなんか向いてないんじゃないでしょうか。」


でも、一番、心に残るセリフは、いつもの様に思いを寄せる寅さんが、その真知子さんから、相談を持ちかける場面。真知子は、亡くなった友人の子供にいつもお誕生日プレゼントをしていて、その女の子がなついていたのだが、突然、その女の子の 「面白くも可笑しくもない」 お父さん(川谷拓三)から、プロポーズされ悩み、寅さんに、相談を持ちかけるところ。

真知子 「その子のお父さんから、突然・・・・・」
寅さん 「その子のお父さんになってくれといわれたんでしょう。」
    (うなづく真知子、寅さんは下を向き首をたれる。)
真知子 「彼は誠実な人だし、女の子、とても私になついているし、何も問題は無いの。でもね、・・あ、でも・・、もしそうなったとしたら・・・・・・・身を焦がす様な恋の苦しみとか、大声で叫びたい様な喜びとか、胸がちぎれそうな悲しみとか、そんな・・・・・そんな感情は、胸にしまって鍵をしたまま、一生開けることもなくなってしまう・・・、そんな悩み、寅さんなら、どう答えてくれるかと思ってね。」
寅さん 「いや、俺の様な渡世人風情の男には、そんな難しいことはわからねぇ。」「ただ、お話しの様子じゃ、その男の人は、きっといい人ですよ。」

このシーンで流れる音楽。


お決まりの振られてしまう時に流れるバラード風の「男はつらいよ」主題歌


男はつらいよ 映画の前奏付きの主題歌はここで

男は、つらいよ!

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今回の作品は、「あけみ」がマドンナと並ぶ、重要な役廻りとなっている。

そもそも話しの発端は、「あけみ」が、結婚生活に疑問を持ち、家出してしまうところから始まる。家出した先が、下田。その「あけみ」を寅さんが連れ戻しに下田に行き、偶然に式根島に帰る小学校の同窓生と出会い、結局、式根島に赴き、「真知子」と出会うことになる。

「あけみ」の良いセリフもある。

寅さんと下田で再会した「あけみ」が、ふと寅さんに尋ねるセリフ。

あけみ 「ねぇー、『愛』って、何だろう?」 (哲学的命題をぽろっと言うところが良いなぁ。)
寅さん 「あぁ、お前も、また面倒なこと聞くねぇ。」
あけみ 「だって、分かんないだもん。」
寅さん 「ほら、いい女がいたとするだろう。な? で、男がそれを見て、はぁぁー、いい女だなぁー、この女を俺は、大事にしてぇ、そう思うだろう? それが『愛』ってもんじゃねぇか。」
あけみ 「どうして寅さんにお嫁さんがこないんだろう。」(と寅さんの腕に抱きつくあけみ)
寅さん 「おりゃー、根暗だからなぁ。ようよう、みっともないよ、お前。新婚夫婦じゃないんだからさぁ。」

島の旅館の青年 (この俳優、実は、田中裕子の実の弟だそうだ) にプロポーズされる「あけみ」だが、

あけみ 「い、言いにくいけど、あたし、人妻なの!ごめん!ごめんね!」と逃げる様に立ち去る。
そもそも「結婚生活」に疑問を持っていながら、このセリフ、青年を傷つけまいとの思いと重ね合わせ、案外、重みがある。これが、下のセリフにつながる。

あけみ 「さっき (さくらさんに)電話したらね、首に縄を掛けてでも引っ張って帰ってきてって。」
寅さん 「ちぇっ、何を偉そうな口をききやがって。俺が何処にいようがあいつの知ったことじゃないじゃないか。」
あけみ 「だったらいいよ、一緒に帰らなくたって。その代わりね、さくらさんに、全部ぶちまけてやるから。」
寅さん 「何をぶちまけるんだよ、お前が。」
あけみ 「決まってんでしょう。島に綺麗な女の先生が居て、寅さんが一目惚れで、ぽーっとなっちゃって、金魚のうんこみたいに、一日中あとを付いて回っているのよーって。」
寅さん 「てめぇ、良く俺にそんな口がきけるな。」
あけみ 「どうせいつか振られて泣きべそかくんでしょう。」
寅さん 「この野郎。お前が女じゃなかったら横面、張り倒すぞ。」
あけみ 「殴れば良いでしょう。」
寅さん 「この人妻崩れ!」
あけみ 「人妻で悪いか。」
寅さん 「亭主ほっぼりだしやがって、独りでふらふらしやがって。ロクなもんじゃねぇや、全く。」
あけみ 「女房も居ないくせに人妻の気持ちがわかってたまるか。」
寅さん 「いねぇもんは、しょうがねぇじゃないか、この野郎。」
あけみ (泣きながら)「私ね、寅さんにいろいろ話聞いてもらいたかったのに、いつもどっかほっつき歩いて、何も話し聞いてくれないじゃん。」
寅さん 「なんだよ、お前、え~、どうしたんだよ。」
あけみ 「ここの息子に結婚申し込まれたの。」
寅さん 「結婚?お前、人妻じゃないか。」
あけみ 「だから帰るって言っているのよ。私、傷つけちゃった~、どうしたらいい? (泣き崩れる)」
寅さん 「そうか、惚れたか・・・うーん・・・」


満男のセリフ: ここでも満男の成長がセリフになって現れている。

さくら 「可哀想に、あんな頼りないお兄ちゃんに会いたいだなんて。」
 「あけみちゃんにとっては、頼りになる男なんだろう。」
さくら 「だから可愛想なのよ。」
満男 「自分の兄さんの悪口言ってらぁ。」
さくら 「だってしょうがないじゃないの。」
満男 「俺、分かるよ、あけみさんの気持ち。おじさんのやることは、どんくさくて、常識はずれだけど、世間体なんて全然気にしないもんなぁ。人におべっかつかったり、御世辞いったり、おじさん、絶対そんなことしないもんなぁ。
 「へぇー、尊敬しているのか。」
満男 「尊敬まではいかないけどさぁ。」

真知子が居る島に居残る寅さんを心配して「とらや」の皆がどうしてだろう、と話しをしていると、満男が、

満男 「常識的に考えればさぁ、島に美人がいんだよ。」

満男の中学に新任の先生が来たと報告する。もちろん、傷心の寅さんもそこに居る。

満男 「女の先生。そがねぇ、母さん、すごーい美人、独身だって。」

寅さん 「何読んでんだよ。」
満男 「この本? これはね、「二十四の瞳」。
寅さん (どてっ)
満男 「いい本だよ。島の分校にね、綺麗な女の先生が居るの。生徒が12人いるの。だから「二十四の瞳」。
寅さん (横になりながら七つの子を口ずさむ) 「かーらーす、何故なくの~・・・」



今回、男はつらいよの舞台の一つに調布飛行場が出てくる。実は、私の住まいは調布。へぇー、寅さんも調布で撮影していたんだと思った次第。先の「真知子」の意味深いセリフもこの調布飛行場でのことでした。


最後に、NHKの「寅さんレビュー」によると、この映画公開の年は、寅年で、寅さんも張子の寅を売っているし、その前の年、阪神タイガースが優勝したとか、面白いエピソードを教えてくれました。
それに、この「男はつらいよ」を山田監督と一緒に脚本を書いている朝間義隆がやはり「二十四の瞳」を田中裕子でリメイクしているそうである。

おまけ: 寅さんの名口上

「やけのやんぱち、日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが、ってね、わたしゃ入れ歯で歯がたたないよ、ときた、ね、どう、もうまけちゃう、一つ400円、ね、四谷、赤坂、麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水、粋なねぇさん立ちしょんべん。さぁ、白く咲いたか百合の花、四角四面は豆腐やの娘、色は白いが水くさいときたもんだ。」


私自身も「面白くも可笑しくも無い男だが」

あ~、ほんとうに、男は、つらいよ~!

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