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2006年11月 5日 (日)

男はつらいよ 第37作 幸福の青い鳥

NHK-BSで放送されている、男はつらいよ あゝ失恋48連発の第37作。

11/4/06の放送は、「第37作 幸福の青い鳥」。昭和61年=1986年12月の公開。

今回は、1年振りの公開となった作品。前作から1年間、間が空いてしまった経緯は、「寅さんレビュー」で、解説してくれた。(詳細は、「続きを読む」でどうぞ。)

マドンナは、志穂美悦子。その恋人・健吾役に長渕剛。ご存知の様に二人は、後刻、実生活でも結婚する。

この作品に限らず、後半の「寅さん」は、いや、「寅さん」シリーズ全体というべきか、「幸せ」・「癒し」が重要なテーマかなと思う。あの「とらや」における温かい人間関係、そこに皆が惹かれて行く様に思われる。

今回の作品は、最初、筑豊が舞台。筑豊の芝居小屋『嘉穂劇場』も登場する。
その中で、旅芸人一座の座長 中村菊ノ丈との出会いが回想され、その菊の丈の娘・美保と出会う。
この辺りの事情は、第8作 「寅次郎恋歌」に描かれているが、今回の作品では次のシーンで紹介されている。

寅さん 「初めて会ったのは、あれ、どこだったけかなぁ、あ、下田の小さな芝居小屋だった、覚えているかい?」
美保 「さぁ」
寅さん 「雨がざぁーーと降っていてなぁ、客が一人も来ていねぇんだ。お前たち、芝居休んで、稽古していたよ。おとっつぁん、困った様な顔して、『ま、こういう訳で、芝居はやれません、娘がお宿までお送りします』。お前、傘さして、俺のこと送ってきてくれたじゃねぇか。」
美保 「あー、思い出した。あん時、寅さん5千円くれんしゃったね、皆でお酒でも飲みんしゃいっちゅうて。」
寅さん 「あれな、間違えて千円のつもりで渡しちゃったんだよ。俺、金なくなっちゃってさぁ、駅のベンチでごろ寝だよ。」

美保と昔話をして、寅さんの恋心が芽生える。筑豊で別れる時、

美保 「どこいくと、これから?」
寅さん 「そうだなぁ、ま、風に吹かれて、フラフラと東京の方へでも向かうか。」
美保 「東京ねぇ?うちも付いていきたかぁ、このまんま汽車に乗って。」

寅さん 「何か俺に出来ることあるかい?って言っても、たいしたことはできねぇけどもよ。何か欲しいものねぇのか。」
美保 「そうやねぇ、『青い鳥』。」

それを持つと幸せになるといわれる『青い鳥』が、ここで登場する。

その美保が、東京に出てきて仕事を探すが見つからない。柴又に寅さんを訪ねてくることになるのだが・・・
いつも通り、寅さんの恋と世話焼きが始まる。

寅さん 「良し、さくら、案内してくれ、いこう、いこう、いや、いいいから、荷物置いて、服着替えて、足腰伸ばして、ゆっくりしてくれよ、な、今ね、美味しいお茶持っていかせるから、ね、さくら、横になるからな、まくら出してやってくれ、うん。満男、ほら手伝え、手伝え、よし、良かった、良かった、ほっとしたろ、おいちゃん。」
---このセリフ、何てことも無いものなんだが、何かジーンとくるなぁ。

寅さんシリーズ後半のパターン、自分も惚れているのだが、若い娘さんの親代わりの世話を焼く、その相反する思いの中で、ドタバタが始まるのである。


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今回も、寅さんのアリアが冴える。

俺は、惚れてはいない、美保の花婿探しの世話をしてやると言う寅さん。

「寿司屋の職人てのはどうだ。」
「俺な、その二人に店ださせるよ。もちろん、間口二間の小ーぃさな店だ。でも、ネタは飛び切り上等、女将は美人で愛想がいい、こりゃ繁盛するよ、おばちゃん。」
「旅からの帰りにちょっと店に顔をだすか。『あら、寅さん、お帰りなさい。さあさあさ、どうぞ』。俺は、奥の椅子にすっと座るな。あたたかいお手拭、酒。黙っていても、俺の好きなものが、すーっと出る。うに、いくら、海老の踊り、気分がいいから。ほら、ついつい酒が過ぎてしまう。『あら、いけないわ、これ以上酔わせたら、さくらさんにしかれちゃう。』、『そうか、それじゃ、おあいそを。』、『とんでもない、寅さんからそんなもの頂けますか』。あの子に抱かれる様に表へ出る。あーあ、夜空一杯の星だ。『お前、今、しあわせかい?』、『寅ちゃんのお陰で。でも・・・』、『でも?』、『あの人、真面目一方で冗談が通じないの』。そこで俺は優しく諭してやるな。『いいか、人間、だれしも欠点というものがあるんだよ。わかるね』、『はい』。やがて十月十日、玉の様な赤ちゃんが生まれる。オギャー!俺、名付け親、博、どんな名前がいい?」
(と自分が惚れてしまっていることを皆の前でしゃべってしまう。)

この作品には、有名な大笑いするシーンがある。
一番有名なのは、葛飾区役所入口に置いてある『あなたの声をお聞かせ下さい』と書いてある投書箱をみて、その投書箱の穴に向かって、源ちゃんと『「わぁ!』と声を出すシーン。これは何回見ても笑える。あ、このシーンだと分かっていても笑えるのである。

今回、私が思わず笑ってしまったシーンは、寅さんの世話で、美保が勤めることとなった近所の中華料理屋で、いろいろ仕事をしている美保を見かね、寅さんが、美保の代わりに、出前に出るシーン。中華屋の服を着て、出前箱を持ち、さぁーと「とらや」の前を通りすぎる。それを見かけたおばちゃんが、「あらぁ!・・・一度だって、あの男、家の団子、配達したあるかい?!」と怒るシーン。思わず大笑い。

先の区役所にある「結婚相談所」でのやりとりも笑える。美保の世話のつもりが、いつのまにか自分の事になってしう寅さん。

「俺なんか、どっちかというと、静かな女がいいねぇ。・・・器量なんて何だっていいよ、と言いたいところだけど、こりゃー、毎日見るもんだから、ねぇ、おりゃー、丸ぽちゃが好きなんだよ。・・・」

一方、哀しいテーマ(音楽)、ジーンと来るシーンもある。

美保が、ふとしたきっかけで健吾と知り合い、健吾の部屋に一人いる時、流れる音楽。
これは、美保のテーマなのか。他のシーンでも流れる。


ジーンと来るシーンは、美保と健吾が愛し合っていると知り、以前、花婿探しの折、区役所から取り寄せていた婚姻届に、保証人として自分の名前を書き込む寅さんの姿。さくらが来ると、「保証人と言うのはな、二人要るだってよ、だから、もう一人は、お前がなってやってくれよ。それが一番安心だから」と言う。さくらは寅さんの気持ちが痛い程、分かるさくらだけに、じっと婚姻届を見つめるさくら。


健吾というか、長渕剛のハーモニカも良いです。


NHKの放送「寅さんレビュー」での裏話

寅さんレビューは、今回、レギュラーの山本晋也監督と渡辺アナウンサーに加え、小野文恵アナウンサーが出演していた。そこで、何故「男はつらいよ」シリーズに一年のブランクが生まれたかを解説してくれた。

この年、山田監督は、「キネマの天地-松竹大船撮影所50周年記念」の撮影に専念していた。この為、「男はつらいよ」シリーズに一年のブランクが生まれたそうである。実際、この「男はつらいよ 第37作」での設定は、寅さんが一年間、旅に出ていた設定になっている。この「キネマの天地」のヒロインは、有森也実。 山本晋也監督も出演。 喜劇の天才、若き日の「斎藤寅二郎」を題材にしており、山田監督が脚本を書いている最中に、この斎藤寅二郎役を山本監督に依頼したそうである。この「寅二郎」が「寅さん」の名前になっているという一説もあるとか。真実は、山田監督のみ知ることだそうである。

視聴者の便りの紹介も感動ものであった。癌で、妻を亡くした視聴者が、余命短いと宣告された妻の病気、家族の思い出として、まだありし日、妻も含め家族で「寅さん」を見ていた話しの紹介。「寅さん」に勇気付けられ、第一作から家族全員で「寅さん」を見ていたが、第20作で、とうとう、その妻が、亡くなってしまったそうである。

いや、皆、人それぞれ、いろんな人生・思い出があるものだ、としみじみ。

寅さんは、やはり、未だに、皆の心にあるんだなぁと思った次第です。

<おまけ>

主題歌の歌詞

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかり、姓は車、名は寅次郎、人呼んで『フーテンの寅』と発します。」

「どうせおいらはやくざな兄貴、分かっちゃいるんだ妹よ、いつかお前の喜ぶ様な偉い兄貴になりたくて、奮闘努力の甲斐もなく、今日も涙の、今日も涙の、日が落ちる、日が落ちる。」
「どんぐり落ちても根のあるやつは、いつかは蓮(はちす)の花の咲く、意地は張っても、心の中は、泣いているんだ兄さんは、目方で男が売れるなら、どんな苦労も、どんな苦労も、掛けまいに、掛けまいに。」

男はつらいよ 映画の前奏付きの主題歌はここで

的屋稼業、口上

「さぁ、やけのやんぱち、日焼けのなすび、色が黒くて、食いつきたいが、ってね、わたしゃ、入れ歯で歯が立たないよ、ときたぁ、ね!」

男はつらいよ

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