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2006年12月24日 (日)

男はつらいよ 第44作 寅次郎の告白

NHK-BSで放送されている、男はつらいよ あゝ失恋48連発の第44作。

12/23/06の放送は、「第44作 寅次郎の告白」。平成3年=1991年12月の公開。
「ゴクミ・シリーズ」の第3弾である。

「ゴクミ・シリーズ」第1弾、第2弾の続きである。
第1弾「第42作 ぼくの伯父さん」
第2弾「第43作 寅次郎の休日」

今回も、「満男」( 吉岡秀隆 )と、「泉」( 後藤久美子 )の恋物語。そこに寅さんの大人の恋が絡むのは、従来通り。今回は、満男と泉の間も一つ前進。それに、寅さんが、マドンナに迫られ、あやうく、いつものパターンと違う展開を見せるか?!という所まで迫る「危機」が展開する。

細かい所で、小気味良い演出が随所に見られ、秀逸。
驚いたことに御前様自身の恋の激しさの話が出てきた。

ゴクミ・シリーズからか、柴又の舞台が、いわゆる「とらや=くるま菓子輔」での展開より、諏訪家(博、さくら、満男)での展開の方が多くなっている。

吉田日出子夏木マリ杉山とく子等も出演しています。

物語は、前作より1年経ち、泉は高校三年生。来年、母親の所から離れて、東京に就職しようと東京に出てくるところから始まる。泉は、母親の再婚話しに複雑な気持ちを擁いている。その泉の複雑な気持ちを軸に、恋物語が展開していく。



映画冒頭、「夢」の代わりに寅さんが述懐するセリフ。





「川が流れております。岸辺の草花を洗いながら、たゆまず流れ続ける川を眺めますと、何やら、私の心まで、洗い流される気がしてまいります。そうしていつしか思い起こされるのが、私の餓鬼の頃のことでございます。私は川のほとりで生まれ、川で遊び、川を眺めながら育ったのでございます。祭りから祭りへのしがない旅の道すがら、綺麗な川の流れに出会いますと、ふと足を止め、柄にもなく物悲しい気分になって、川を眺めてしまうのは、その所為かもしれません。今頃、故郷に残した私の肉親達、たった一人の妹「さくら」、その夫の「博」、息子の「満男」、おいちゃん、おばちゃん達はどうしているのでございましょうか。・・・・・・・・・
そうです、私の故郷と申しますのは、東京は葛飾・柴又、江戸川のほとりでございます。」






満男が最後に独白するセリフ





「伯父さん、世の中で、一番美しいものは恋なのに、どうして恋をする人間は、こんなに無様なんだろう。今度の旅で、ぼくが分かったことは、ぼくには、もう、伯父さんのみっともない恋愛を、笑う資格なんかないんだ、ということなんだ。いや、それどころか、今のぼくには恋する伯父さんの無様な姿が、まるで自分のことの様に哀しく思えてならないんだ。だから、ぼくはもうこれから、伯父さんを笑わないことに決めた。だって、伯父さんを笑うことは、ぼく自分を笑うことなんだからな。」








寅さん、満男及び泉の良いセリフが登場する。これらのセリフは「続きを読む」でどうぞ。
マドンナとの決定的な場面も書き出しました。「続きを読む」でどうぞ。


「とらや=くるま菓子輔」での泉と寅さんのセリフ。

泉 「今度は、何時会えるのかな。」
寅さん 「泉ちゃんがな、俺に会いてぃなぁ、と思った時だよ。
泉 「ぅ、うん」
満男 「行こう、行こう」
泉 「おやすみなさい。」
寅さん 「おやすみ。」

泉と満男が二人で、「とらや=くるま菓子輔」を後にする。
・・・
寅さん 「ぁ~、まっすぐ家に帰るかな。いや、帰るわけはないなぁ。今夜は月夜だ。『♪月がとっても青いからぁ~、とぉー回りして帰ろうかな♪』。・・そんなことを繰り返している内に、いつか満男の胸は、恋心で張ち切れんばかりになる。そしてある晩、月夜の川原を歩きながら、告白するな。」
さくら 「なんて?」
寅さん 「アイ・ラブ・ユー」
博 「それから、どうなると思いますか、あの二人は。」
寅さん 「出来れば添い遂げさせてやりたい。しかし・・残念ながら、そうは行かない。」
さくら 「どうして行かないの?」
おばちゃん 「満男ちゃん、もてるんだよ。」
さくら 「そうよ。」
寅さん 「いいか、恋というものはな、長続きさせるためには、ほどほどに愛するということを覚えなきゃいけない。ところが、若すぎる満男には、それが出来ない。」



諏訪家でのセリフから。満男の燃え上がった、純粋な恋心が見事に描かれている。

満男 「俺、大学辞めようかな。」
さくら 「どうして?」
満男 「俺が、父さんから貰っている金を泉ちゃんにやれば、あの娘(こ)は、短大に行けるだろ。俺は、アルバイトすれば、食っていけるんだから、なぁ、父さん、そうしてくれないか。な、いいだろう。」
博 「満男。それは決して正しい解決法じゃないぞ。」
満男 「どうして。」
博 「大事なことは、どうして泉ちゃんが、いわれ無いハンディキャップを負わなくてはならないのか、これからどうすればいいのか、それを一緒に考えてやることじゃないのか。」
さくら 「そうよ。第一、そんなお金、受け取る訳ないでしょう。泉ちゃんにだってプライドがあるんだから。」
博 「うん。」
満男 「あ~あ、無力だな、俺は。伯父さんみたい。」
博 「な、満男。看護婦さんになる気はないかな、あの娘(こ)は。」
満男 「どうして。」
博 「工場のゆかりちゃんの妹が看護学校行っているんだけど、病院から奨学資金がでるんだってさ。卒業して、2年か3年、その病院で働くことを条件にしてな。看護婦さんなら、立派な職業だしな。」
さくら 「泉ちゃんが、看護婦さん?いいわね、素敵よ、きっと。」
博 「白衣が似合うぞ。うっとりとしちゃうだろうな、男の患者なんか。」
と、ぼん!、と机を叩き怒る満男。
満男 「不真面目だよ!制服が似合うとか似合わないとか、そんなことはどうだっていいじゃないか。一人の人間が、どんな職業を選べば良いかを話し合っているんだぞ、今は。それに対して夕べからそうじゃないか、可愛いだの、上品だの。そんな言い方は、泉ちゃんに対する侮辱だよ!」
博 「そ、その通りだよ。父さんの言い方が悪かった。」
満男 「反省しろよ。」



泉の心情を告白するセリフから。

寅さん 「原因は何なんだい。良かったら、俺に話してみないかい。」
泉 「あたしが悪いの。それは判っているの。」
寅さん (やさしく)「どういうことなんだい。」
泉 「ママに好きな人がいるの。それはいいのよ。パパに裏切られた人なんだし、相手の人だって、悪い人じゃないんだし、良かったら再婚すれば良いの。それがママの幸せならば、あたしは祝福してあげなければいけないって、・・頭では思うんだけどね、心はそうじゃないの。嫌なの。不潔なの。汚らしいの、ママを見ていると。」
寅さん 「少しも悪くないじゃねぇか。え、泉ちゃんがお袋さんのことをそう思うのは当たり前なんじゃねぇのか。」
泉 「ううん、そうじゃない。絶対違う。ママを一人の女性として見ることが出来ないのは、あたしの心に、何か、いやらしい、汚らしいものがあるからなのよ。だから、あたし、間違っているの。」
寅さん 「ぅーん、泉ちゃんは偉いなぁ~」
泉 「どうして?」
寅さん 「俺はな、親父が酔っ払って、芸者に産ませた子供なんだよ。だから『さくら』とは腹違いなんだ。」
泉 「本当?」
寅さん 「ぅーん、ひどいお袋でなぁ。俺のこと産み放しでもって逃げちゃった。俺は一生恨んでやろうと思ったよ。でも、泉ちゃんの話を聞いて、すこーし、俺も反省したな。あんなババアでも、一人の女性としてみてやんなきゃいけねぇんだなって。腰巻でも買って贈ってやるか、あの糞ババアに。」


満男 「どしたの?何、考え込んでいるの?」
泉 「名古屋の家を飛び出した時はね、あたしは、世の中で一番不幸せで、だれもあたしの気持ちなんか判ってっくれはしないと思っていたの。でも、田舎の町で、知らないお婆さんに親切にされたり、おじちゃまにばったり会って、すがり付いてわぁわぁ泣いたり、それに、砂丘の天辺からころころ転がってくる先輩、見てたりする内に 、あたしはそれほど不幸せじゃないんだって、そう思えてきたの。」
満男 「そうだよ。俺の親父やお袋だって、みんな泉ちゃんのこと心配しているんだよ。」
泉 「うん。今度、哀しいことがあったら、満男さんの家の人達を思い出す様にしよう。」
満男 「うん、それと伯父さんとな。」



人生の先輩として満男を叱る寅さんのセリフ。マドンナ「聖子( 吉田日出子 )」の主人が事故で亡くなったと知り、義理堅く、墓参りする寅さん。

寅さん 「汽車に乗らないと死ぬのか!うん?墓参りと汽車に乗るのと、どっちが大切だか、大学生のお前は判らないのか!馬鹿野郎!すぐ行け!(と満男を香典袋を買いに行かせる)」
「それじゃ、女将さん、ご主人のお墓へ案内していただきます。」
「女将さん、この度は、本当に御愁傷様でした。」



マドンナ「聖子( 吉田日出子 )」との決定的なシーン。マドンナに迫られる寅さん。

寅さん 「で、ご亭主とは、何年一緒にいたんだい。」
聖子 「十年丁度。」
寅さん 「十年か。でもその十年間、幸せだったんだ。な、そうだろう?」
聖子 「・・・・」
寅さん 「どうしたい?」
聖子 「とっても泣かされただね、あの人には。」
寅さん 「それじゃ、お聖ちゃんのご亭主は・・・。」
聖子 「とんでもない浮気者だったがな。」
寅さん 「そうかい。いやー、俺は、お聖ちゃんは、てっきり幸せに暮らしているもんだとばっかり思っていた。」
聖子 「ぅぅん・・・寅さんが家にきんさるたんびに、『亭主はまだ生きてるかい?』って、冗談みたいにいっとんさったでしょう。あたし、『まだ生きてますよ』って、『お気の毒さま』って、笑いながら答えとったけど、本当は・・・・(泣きながら)心の中では、・・泣いとっただよ、・ぇぇ(泣き崩れる)・・・・あたし、後悔しとる。」
寅さん 「何を?」
聖子 「寅さんにしようか、あの人にしようか、迷っとって、結局あの人を選んでしまったんだけど、・・・あたし、阿保だったなぁ。・・寅さんにすれば良かったなぁ・・」
寅さん 「ぃ、ぃ、今更、そんなこといわれてもなぁ。」
聖子の足で、部屋の明かりが消える。
聖子 「今夜は使用人をみんな帰しただだで。・・(寅さんに抱きつこうとする) ・・どうして、逃げんさるだか?」
この決定的場面で、満男が階段の手摺りから落っこちて、ぶち壊してしまう。



泉と満男のやり取りから。

泉 「ねぇ。おじちゃまは、前から、あの小母さんが好きだったのでしょう。小母さんも好きだったけど、他の人と結婚した訳よね。でもその人が川で溺れて死んじゃったから、いづれ二人は結婚するわけ?」
満男 「いや、そんな方程式を解く様にいかないんじゃないか。男と女は。」
泉 「じゃ、どうなるの?」
満男 「あの伯父さんはね、手の届かない女の人には夢中になるんだけれど、その人が伯父さんのことを好きになると、慌てて、逃げ出すんだよ。もう今まで、何べんもそんなことがあって、その度に俺のお袋、泣いていたよ。『馬鹿ね、お兄ちゃんは』なんて言って。」
泉 「どうしてなの?どうして逃げ出すの?」
満男 「わかんねぇや。」
泉 「自分の伯父さんのことでしょう。どうして分からないの。」
満男 「つまりさぁ、綺麗な花が咲いているとするだろう。その花をそっとしておきたいな、という気持ちと、奪い取ってしまいたい気持ちが男にはあるんだよ。
泉 「ふぅーん。」
満男 「あの伯父さんは、どっちかというと、そっとしておきたいな、という気持ちが強いんじゃないかな。」
泉 「じゃ、先輩はどうなの?」
満男 「え、俺?奪い取ってしまう方だよ。ぶふぅ、何ちゃってね!」

この後、それぞれの家に戻る列車の車中で、手を握りあう二人。セリフは無いが、良いシーンだ。



驚きの御前様の恋話しから。

御前様 「そうですかぁ、満男君がもう恋をする歳になりましたか。」
さくら 「恋かどうか本人にもよく分かってないじゃないかと思いますけど。」
御前様 「いや、恋に決まっています。私も満男君の歳頃には、いくつも恋をしたもんです。」
さくら 「えー、御前様が恋を。信じられませんわ、そんなこと。」
御前様 「なにを仰います、さくらさん。私の恋の激しさときたら、寅なんか、問題じゃありませんでしたよ。」
さくら 「うふぅふ。」
御前様 「可笑しいですか?」


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