男はつらいよ 第15作 寅次郎相合い傘
「男はつらいよ」後半24作の中からアンコール放送が決まったが、私は、前半24作から、自分でアンコール、録り溜めていたものから、ピックアップした。やはりリリーが出演している、そして、山田監督にお気に入りである第15作「相合い傘」を約1年振りに観た。うーん、やはりこれは名作である。
後半24作の途中から始めたセリフ起こしをこの第15作でもやってみる。リリーのテーマ曲もアップした。セリフ起こし部分は「続きを読む」でどうぞ。
小樽にて、旅の相棒「パパ」こと「兵頭」が、初恋の人の様子を見に行くところで、リリーが言うセリフ。
リリー 「いい歳して甘ったれだね、男なんて。」
寅さん 「え、どうしてよ。」
リリー 「だって、そうじゃないか。30年前の男が現れてどうのこうの言ったって、女にしてみれば迷惑な話だよ。陰気なおじさんのツラ見てがっかりするだけじゃないの。」
寅さん 「ほー、お前も、夢の無い女だね。」
リリー 「夢じゃ食えないからね。」
初恋の人と会っては見たものの、出張のついでだと、素っ気なく、後にしてしまった兵頭に向かって。
寅さん 「しかし、向こうも、亭主と別れた後の話をしたかったんじゃないかな。それをすぐ、はいちゃいじゃ、つれねぇんじゃねぇの。」
兵頭 「いえ、それでいいんです。それで。・・・仮にそんな話しがあったとしても、今の僕に何が出来るんだ。僕って男は、僕って男は、たった一人の女性すら、幸せにしてやることもできない。駄目な男なんです。」
リリー 「気障ったらしいね、言うことが。」
兵頭 「どうしてです?」
リリー 「幸せにしてやる?大きなお世話だ。女が幸せになるには、男の力を借りなきゃいけないとでも思っているのかい?笑わせないでよ。」
寅さん 「でもよ、女の幸せは、男次第だっていうんじゃないのかい?」
リリー 「へぇー、初耳だね。あたし今までに一度だってそんな風に考えたことないね。もし、あんた方がそういう風に思ってるんだとしたら、それは、男の思い上がりっていうもんだよ。」
寅さん 「へぇー、お前も何だか、可愛げの無い女だな。オイ。」
リリー 「女がどうして可愛くなくちゃいけないんだよ。寅さん、あんた、そんな風だから、年がら年中、女に振られてばっかりいるんだよ。」
寅さん 「オイ、リリー、お前、言っていい事と悪い事があるんだぞ。」
リリー 「だってほんとだろう。」
寅さん 「じゃ、俺も言ってやるよ。何だ、お前、すし屋の亭主と別れてやったなんて、体裁のいい事ばっかり言いやがって、本当は、てめぇ、捨てられたんだろう。」
リリー 「・・・・寅さん、あんたまで、そんなことを・・・あんただけは、そんな風に考えないと思っていたんだけどね。」
兵頭 「ごめんなさい。僕の為にこんなことになって・・・」
リリー 「うるさい!あたし帰る。さよなら!」
寅さんの名アリア
寅さん 「俺にふんだんに銭があったらなぁ。」
さくら 「お金があったら、どうするの?」
寅さん 「リリーの夢を叶えてやるのよ。例えば、どっかの一流劇場、な、歌舞伎座とか、国際劇場とか、そんな所を一日中借り切ってよ、あいつに好きなだけ歌を歌わせてやりてぇのよ。」
さくら 「そんなの出来たら、リリーさん、喜ぶだろうね。」
寅さん 「うーん。ベルが鳴る。場内がすぅーっと暗くなるな。『皆様、大変長らくお待たせをば致しました。ただ今より、歌姫、リリー松岡ショーの開幕ではあります』。静かに緞帳が上がるよ。スポットライトがぱぁーっと当たってね。そこにまっちろけなドレスを着たリリーがすぅーっと立っている。あれは、いい女だよ。え、あれは、それでなくたって、ほら様子がいいしさ、目だってぱちっとしているから、派手るんですよ、ねぇ。客席が、ざわざわざわざわっとしてさ、『綺麗ね』『いい女だな』『あ、リリー!待ってました!日本一!』。やがて、リリーの歌が始まる。『ひとり酒場で飲む酒は♪』。ねぇ、客席は、しーんと水を打った様だよ。みんな、聴き入っているからな。お客は泣いてますよ。リリーの歌は悲しいもんねぇ。やがて歌が終わる。花束、テープ、紙吹雪、わぁーっと、割れる様な拍手喝采だよ。あいつはきっと泣くな。あの大きな目に、涙が一杯溜まってよ。・・・いくら気の強いあいつだって、きっと泣くよ。」
メロン騒動でのリリーのセリフ
リリー 「寅さん、あんたちょっと大人げないわよ。」
寅さん 「ほー、なんだい、身内ばっかりだと思ったら、一人、お他人様がいたんだな。」
リリー 「何言ってんだい。さっき、この家は自分の家と思え、とそう言っただろ。」
寅さん 「お前、一体、何が言いたいんだよ。」
リリー 「言ってもいいのかい。」
寅さん 「言ってみりゃいいじゃねぇか。」
リリー 「じゃ、言うけどね。冗談じゃない、って言うんだよ。俺のことを勘定に入れなかったの、心が冷てぇだの、そんな文句の言える筋合いかい。ろくでなしのあんたを、こんなに大事にしてくれる家がどこにあるかっていうんだい。あたし、羨ましくて、涙がでちゃうよ。本来ならね、いつも御心配をお掛けしています、どうぞメロンをお召し上がり下さい、あたしは要りませんから、あたしの分も、どうぞ、とこういうのが本当だろ。甘ったれるのもいい加減にしやがれっていうんんだい。」
寅さん 「かー、憎たらしい口ききやがって、これでも女でしょうか。」
リリー 「男でなくて悪かったね。」
寅さん 「たいしたもんだよ。なんでぇ、てめえのツラなんか二度と見たくもないやい!」
寅さんが、雨の中、駅でリリーの帰りを待っていると。
リリー 「迎えに来てくれたの?」
寅さん 「馬鹿やろう、散歩だよ。」
リリー 「雨の中、傘さして散歩しているの?」
寅さん 「悪りぃかい。」
リリー 「濡れるじゃない。」
寅さん 「濡れて悪いかよい。」
リリー 「風邪ひくじゃない。」
寅さん 「風邪ひいて悪いかい。」
リリー 「だって寅さんが風邪ひいて寝込んだら、私、つまんないんもん。」
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